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朝は暖かな空の果て(誕生日)


(背後のありがとうございますSSです。無駄に長くてすいません。本当にありがとうございました。神凪は幸せ者です。…本当に)

「…、さん…、円さん」

軽く身体をゆすられて意識は覚醒していく。昨夜は浅い眠りを繰り返した所為だろうか。朝は苦手ではないはずなのに、体も瞼も酷く重い。

「…ん〜…、朝…?…まぶ、し…」

それでもなんとか瞼をこじあければ、朝の日差しがいつもより眩しく思えて手をかざす。
…あぁそうか。
ここは鎌倉の新しい家。朝日の明るさは庭からみえる海の照り返しの所為だろうか。
そんなことを考えながら、瞳を擦りつつ半身を起こす。時間を確かめようと樹の匂いのする和室で、時計を探し視線を彷徨わせる。鎌倉の外れのこの場所から通うには、いつもより早く起きないと始業に間に合わない。

「…あ、れ?」

慣れない部屋で時計見つけらずにしばし視線を彷徨わせる。そしてふと、起こしてくれていた聖雪の姿がないことに気づいた。台所の方へ行ったのだろうか。私も手伝わないと、と想う耳に軽い足音が届く。そして閉じていた襖が開いて。

「円さん、お誕生日おめでとうございます♪…貴女が生まれてくださった今日の日に感謝を篭めて…」
「…、ぇ、……あ、…、………、…そか、…ありが、と…」

満面の笑顔で渡されたのは抱え込めるほどの包み。
酷く戸惑いながらかさかさと音を立てる包みを受け取り、そして気づく。
一週間ほど前には覚えていた気もするが、竜宮城騒ぎですっかり忘れていた。

今日は、…誕生日、だ。

「…ありがと」

心を篭めてもう一度告げる言葉。
8月27日はそんな風にはじまった。



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| 日記&SS | 13:03 | comments(0) | - | |
夜は冷たい海の底(竜宮城戦争)


―… ぷかり、と。

水面で弾ける泡のように、意識が覚醒する。瞳を開いても、そこは何も見えぬ暗闇。

――――…… 波の音がする。

自分の周りに冷たい水は確かに存在しないのに。闇と、波音に何処にいるのか迷う。
早くなる鼓動を感じて胸の上で手を握り締める。握り締めるその手には布の感触。
海の中ではないのだ、と自分に言い聞かせる。

聞こえるのは、わずかばかり早い自分の呼吸と鼓動―波の音。
それでも耳を澄ませば。
波音の間に、柔らかな自分以外の呼吸の音と―虫の声が聞こえる。

そうだ…。

握り締める指から力を抜いた。握り締めていたのは暖かな布団。
ここは鎌倉の外れ、古びた一軒家の和室。朔と聖雪と私―3人で暮らすために見つけた家。
ゆっくりと瞳を瞬いて、闇に慣れた瞳を傍らに向ける。そこには隣で眠る聖雪の顔が見えた。
朔は、もなかを置いてきたからと今夜は前の家に戻っている。私達もまだ荷物は運び込んでいる途中なのだけれど。それでも今夜は共にと、この家で眠ることにした。

…そうだ、戻ってきたんだ―と、想う。


            今夜は幾度、こんなことを繰り返すんだろう?




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| 日記&SS | 02:21 | comments(0) | - | |
本日は灼熱なり


うるさいほどの蝉の声が、障子を開け放った庭から響く。

古くて大きな日本家屋。
生い茂る庭の緑がもっとも綺麗に見える12畳の和室。
家を仕切っていた爺様が亡くなるまでの多くの時間を過ごした部屋。
爺様が冷房嫌いだったために部屋には設備さえない。

昼を過ぎても照りつける太陽の日差しは強くなるばかり。
室内の自分の座す位置にまで日差しが達するまであとわずか。
じっとりと汗がにじむのを自覚する。

兄ィの向かいに背筋を伸ばし正座をして…どれくらい時間はたったんだろう?




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| 日記&SS | 22:46 | comments(0) | - | |
雨雲と太陽


(行動とお言葉が嬉しかったので書いてしまったお話。ご許可をありがとうございます!身に余る対のお話はこちらに)

靴音を響かせ、寂れた学校の廊下を歩く。
雨の夜特有のどんよりとした明るさも、建物の持つ闇に塗りつぶされる。しかし、幾度か通った建物の中では迷うこともない。

暗い教室に満ちる異質な闇の気配。気配を探りながらその教室に一歩、踏み込む。
とたんに膨れ上がる憎悪の念。
右後方から飛び掛かってくるその憎悪の気配に、振り向きざまに鍛えた宝剣を振り上げた。そこには憎悪に顔を歪ませ、身体に鎖を絡めた女の姿。

「…フッ…!」

短く息を吐き、気合を込め迷いなく剣をまっすぐに振り下ろす。
濃厚な闇の気配に比べ、曖昧な手ごたえは自縛霊特有の感触。カツ、と宝剣が半透明の身体を切り割いて床を打つ。
濃厚な闇の気配にも随分と慣れた。身体も戦いを覚え、考えるよりも先に動く。
…それなのに。




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| 日記&SS | 02:42 | comments(0) | - | |
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